作者: kamiki @k4mik1
flowchart TD
4[4.長女からの手紙]
--> 5[5.悪夢の始まり]
--> 7[7.いないはずの長女がいる現実]
5
--> 8[8.ないはずの漁村がある夢]
--> 9[9.かつて最も宇宙に近付いた村]
--> 10[10.結末]
7 <-- 正気度ポイントを失う --> 8
このシナリオは”新クトゥルフ神話TRPGルールブック”(以下”ルールブック”)に対応したシナリオで、探索者は何人でも良いが、最大でも3人程度が理想的だろう。プレイ時間は探索者の作成を含まずに6時間程度だ。
舞台は現代の日本であり、全ての探索者は家族同士である。NPCとして他の家族が何人いても良い。また、NPCと一緒に住んでいる必要はないが、探索者同士は同居している方がスムーズに進行できるだろう。
漁で成り立っていたとある日本の村で寄神信仰が盛んであった。
その源流は1925年のルルイエ浮上の頃に遡る。当時、村に寄り神として漂着したのは巨大な魚であったとされ 、現代ではそれがクジラかイルカ辺りだったのではとされている。しかし、実際にはクトゥルフの星の落とし子であったのだ。当時の村民の多くはこれを見て発狂。この時、星の落とし子はルルイエからの長い旅の末に正しくこの地に漂着した状態でほとんど死に体であったために、それ以上の被害は及ぼさなかった。
しかし、狂気状態に陥った村人が起こした事件は実に凄惨なものの数々であった。そのことが更に連鎖して狂気を産み 、生き残った正気な者達は漂着した星の落とし子を祀り上げ、祟りが去るのを待つことしかできなかった。
結論から言えば時間経過によって狂気はおさまったが、村人からすれば祀り上げたことによるとしか思えなかったために、次第に信仰は根付いた。
村では食料だけはあったために目減らしなどの理由もあり、近隣の土地から厄介者が来ることが多くあった。つまり、偏屈な学者や、芸術家の類もそれなりに住んでいた。当然、彼らはこの信仰に大きな影響を受けることになる。そうして彼らもまた狂気に呑まれる。適度な賢さは毒となり、狂気と知性によって、村人は海と宇宙の繋がりに気付きを得た。そこから、近くの山の上に宇宙へ近付くための塔を建てた。それは星の光を受け、反射し、海へと繋ぐ星見台であったとされる。魔術的に、当時、最も宇宙と海に近かった塔といえるそれは結果的に村をクトゥルフの悪夢へと誘う。
こうして漁村はクトゥルフの持つドリームランドと現実との境界に堕ちた。ユークリッド幾何学に則らないその場所は、その場の法則に従って言えばルルイエと座標的に十分近い場所である。
そこで生まれたのが今回の探索者の家族における”長女”である。
探索者たち、家族の長女である女性。
しかし、既に説明したように彼女が真に家族であるという保証はなく、その存在に違和感を覚える探索者もいるだろう。そして、それと同時に家族でないという保証もない。その真相について人間が辿り着くことは永遠にないだろう。
彼女に関しては名前やその容姿を含めた全てのステータスについての設定がない。それはシナリオとしてもそうであるし、実態としてもそうである。プレイヤーが彼女の詳細情報を気にしているのであれば、プレイヤー自身に彼女の名前や容姿、ステータスが何であるか決定させても良い。