<aside> ⚠️ 注意(この注意はシナリオ本編に一切関係がない唯一の文章です)
本シナリオは「コトリバコ」をテーマに書くにあたり、どうしても同和問題(部落差別問題)に触れない訳にはいきませんでした。それは重要な倫理の問題であり、現代でも無視できるものではないからです。
そもそもコトリバコ自体が「同和問題に端を発した物語」である以上、それを無視して物語として消化することは私には出来ませんでした。ただし、これは教育が目的ではなく、あくまで娯楽であることは言うまでもありません。
そのためKPはPLを含めてセッション前に認識の共有と必要であれば議論を交わしておくことを推奨します。つまり「同和問題という事象への認識」と「差別用語をセッション内に登場させることについて」です。これらを怠りセッションを楽しめなくなることや、途中で破綻してしまうことは避けるべきでしょう。
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<aside> ❕ 事前にプレイヤーへ以下の資料のリンクを見せておく
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<aside> ❕ シナリオ情報
2つのシナリオを交互にプレイする。
1つ目は『無明なる者ども』という民俗ホラー的シナリオで、もう1つの『奇妙な箱について』はコズミックホラー的シナリオである。
2つともに共通して仏教をエッセンスに「コトリバコ」をテーマとしている。詳細は以下の項目を参照のこと。
プリプレイにもあるように各プレイヤーは2つのシナリオにてそれぞれのキャラクターを操作することになり、また、それは同時多発的に発生する。故にKPの処理が追いつかないということもあるため、注意すること。
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<aside> ❕ タイトルについて
『無明なる者ども』
仏教において無明とは無知のことを指し、過去世の無始の煩悩のこととされる。仏教的世界観の因果論における、最初の因とは無いものであるため、無明であると考える。それをタイトルに関することで過去であることを示す。これが”最初”の物語であるという意味である。
更に現代から見ても知識量の絶対的な差があり、その意味でも無知であると言える。
『奇妙な箱について』
奇妙な箱とはそのままコトリバコのことである、と連想させるのが1つ目の意味となる。
その一方で、このシナリオはコンピュータを用いた掲示板でのやり取りをシナリオの根幹においており、『無明なる者ども』の過去から見た時にコンピュータは「奇妙な箱」であるという点が隠された意味になる。このことからコンピュータが深くエンディングに関わることを暗示している。
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<aside> ❗ 敵対神格
シャッガイからの昆虫
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<aside> ❗ 真相概要
『奇妙な箱について』にて舞台となる被差別地域はいわゆる「部落」を元にしている。特にカワタやエタと呼ばれた人々の集まる集落での出来事である。オリジナルの「コトリバコ」と同様にその地域にとある箱が持ち運ばれた。その地域が選ばれたことは間違いなく、あの悪辣な神格ニャルラトホテプによるものだろう。
そのハコはほとんどオリジナルのコトリバコと同じで人間を苦しんで殺す呪物だが、実際になぜそのようなことが起きるのかと言えば「シャッガイからの昆虫」が閉じ込められているからである。苦しむ姿を好む彼らは人の子が人の業によって封じられたこのハコを異様に好み、結果として自分からこのハコに捉えられる。
より正確には彼らは閉じ込められているのではなく、気に入ってそこにいるだけであり、外部に”より面白いもの”があれば当然そちらに飛びつく。それ故、このハコが置かれた家の女子供は必ず苦しんで死ぬ。男が狙われないのではなく、その方が多くの人にとって恐怖を与えるということを彼らは知っている。また、別の理由としては彼らが取り付くにあたって比較的強靭な肉体を求めたということもあるかもしれない。実際には我慢できず、男を殺した例もあるだろう。
そうして被差別地域であった村に最悪の兵器が持ち込まれることとなった。オリジナルの話通りにそれが庄屋の家に持ち込まれたこともまた事実だ。そうして幾つかが作られたコトリバコだが、幾つかが作られたせいで村内でも次第に狂気が拡散していく。
何の知識も力もない人間にとって、それは防ぐ手段のあるものではない。村が狂気に包まれるまでは時間の問題であり、助かる手段は村を見捨ててどこかへ逃げ延びる以外にない。
そして、現代。逃げ延びた、あるいは、シャンに寄生された村人はその超科学力によって現代へとコンタクトをとることとなった。前者は助けを求めて、後者は寄生を拡大するために現代の探索者に箱を捜索させている。ターゲットになった探索者がどのようにして生きるのかは探索者次第だが、少なくともこのシナリオ内でシャンの魔の手から人類を救う手立ては存在しない。最悪でアザトースが招来され、地球が滅亡する。
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<aside> ⚠️ 登場人物には敢えて名前を設定していない。これは非常にセンシティブな問題であることが理由である。
そのため必要であればKPがPLに十分配慮・説明をした上で設定するのが良いだろう。もちろん事情を説明して、敢えて設定しないということも選択肢の1つだ。
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<aside> 👤 この集落を取りまとめる男。気弱で、自信がなく、常になにかに怯えている。
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<aside> 👤 頭は悪いが、いつも陽気で、仕事はサボりがちのため、集落の人々の多くは良く思っていないが、探索者を含め若い人間にとっては面白いお兄さん。
特に、度々町へとこっそりおりては面白い話を持ってくる。意外にも相談役に対しては素直で仏教の考え方にも従順。
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<aside> ❗ 「隠岐からきた男」殺害の犯人。
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<aside> 👤 妻と子を持つ村人。そのような村人は少なくはあるが、しかし、実際に居ないわけではなかった。
間引きもなくはない村で、しかし、子を育てるということを知る男はコトリバコの生成に反対している。
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